銘苅春政作 知念・真壁 一号

とうとう、銘苅先生に直接製作をお願いしている一本が完成しました。これはとても珍しい一本で、知念・真壁(ちにんまかび)型三線。先生が作る三線で、南風原真壁(ふぇーばるまかび)と呼ばれる型があるのですが、南風原真壁型は銘苅先生の師匠にあたる仲本さんが昔はあったと言っていた型。実際には南風原真壁がどんなものかは見たことがないようで、銘苅先生は名前通りの解釈をし、天は南風原、鳩胸を真壁にして作られています。

 

以前、この南風原真壁型を最初に作られた時、その三線を見せてもらいました。その南風原真壁型の棹の心には、南風原真壁型一作の文字が書かれていました。先生に聞いたところ、その型の最初の一本には一作の文字を書くという話を聞いたため、無理をいって今回一作にあたる一本を製作してもらいました。

 

知念真壁型という型は存在せず、今回無理やりひねり出してもらった一種の亜種になるわけですが、天が知念大工で鳩胸が真壁という変わり種の一本です。爪裏は真壁になっています。とても女性っぽい美しい一本です。

 

で、以前のように一作と書いてもらえるかと思いきや、やはり一作はおかしい言い方なので一号にしようという話になり、心に一号と書いてもらいました。

 

三味線宝鑑などの三線の書籍を見ると、昔の三線はこのように雑種と言いますか、真壁と与那城の合いの子みたいなものとか、それこそ知念と真壁の合いの子とか、そんな型が結構掲載されていたりします。

 

話は戻ってこの一本。銘苅春政先生の工房にあったいくつかの原木の中から割れの無いカミゲン黒木を選び、オーダーしました。白太が若干茶色がかっていて、スンチー塗りにするとどんな形になるか楽しみです。

 

2019.6.26

本漆塗り完成しました。漆塗りは首里の漆塗伝統工芸士、諸見さんにお願いしました。これが随一の塗師の業かと素人目てもわかる美しさです。

 

2019.7.24

完成しました。

 

2019.11.26

本漆後の試奏で塗りが少しおかしくなってしまい、本漆の際メンテナンス完了しました。やはり本漆は硬化に時間がかかります。

 


最終完成

2019.11.26

7月に完成した時に、軽く弾いても大丈夫ということで少しだけ弾いてみたら、トゥーイの塗りが少しおかしくなってしまい、再度塗り直しに。また、象牙のカラクイも三線側の穴が大きくきれいにとまらなかったため、太めのカラクイ(ラクト)ヘ変更。

やっと知念真壁が完成しました。本漆も時間の経過とともに、白太部分が薄っすらと飴色に光ってきました。

完成

2019.7.24

三線組立完成しました。

本皮一枚張り桃原チーガー二色盛嶋開鐘胴、象牙スイムディーカラクイ、久米島紬ティーガーです。

本漆塗り完成

2019.6.26

本漆塗り完成しました。ここから組み立てに入ります。

本漆塗り中

2019.3.17

漆塗りの状態をみてきました。まだ1回目の塗りの途中で、その前の木の筋の部分を埋めた状況。6月頃まで薄く塗って研磨の繰り返し。

棹完成

原木の状態


2018年7月1日追記
先日銘苅先生のところへ訪問されたSさんが写真を撮影して送ってくれました。ありがとうございます!追加の2枚。

2018年8月26日追記

またまたSさんが写真を送ってくれました。感謝。糸蔵に穴が空きました。昨今では珍しくなってきた、割れがほぼ無いカミゲン黒木です。