三線職人の最高峰 銘苅春政氏作三線


みなみ三線店にある銘苅氏の棹は10本を超える
みなみ三線店にある銘苅氏の棹。残り数少ない
胡弓(クーチョー)の名手としても名高い
胡弓(クーチョー)の名手としても名高い

一本目の三線でしっくりこず、次に手に入れる三線はどうしても自分の納得いくものを手に入れたい。でも、東京ではなかなか試し弾きできる店がない。購入後に後悔するのは嫌だ。ということで、とにかくいろんな情報をインターネットを中心に探し、学び、辿り着いたのが三線製作の巨匠 銘苅春政氏でした。

 

銘苅氏に影響を受けた三線製作者は数多く、三線製作の最高峰に位置すると言われています。県の伝統工芸士に認定された際の県からの認定文には、氏の作る三線は「銘苅型」と呼ばれる、と書かれていました。それだけ一人抜きん出ている証左なのでしょう。なかでも銘苅春政 = 与那城と言われるほど、銘苅先生の作る与那城型三線は有名です。

 

このページを作り始めた頃はまだ銘苅先生の三線を所有する前の段階でしたが、今となっては銘苅先生の三線を複数本保有することに。すっかりその優美な姿にはまってしまいました。

 

銘苅先生の棹にはまったことは事実ですが、それと共にその後の三線化をお願いしたみなみ三線店の枝川さん(銘苅先生に師事する三線製作職人)の音作りの技術(皮張りやブーアティ)としっかりとした対応がよかったというほうが正しいかもしれません。

 

現在、銘苅先生が手がけるのは棹のみです。稀にご自身で皮張りや塗りもされるようですが、全国各地の三線弾きや三線コレクターが先生の元へ訪れ、製作を依頼するため、棹以外を手がける時間がないとのこと。かなり前から棹製作に集中されてます。

現在はご高齢ということもあり、新規の製作依頼は断られてます

 

そこから先の塗り、皮張り、部当てなどの、いわゆる三線の音を決める最も大事な工程は銘苅先生の手から離れていて、棹を持ち込んだ三線店で組み上げられます。

なので、棹以外を製作する三線店がよくないと、いくら棹が銘苅先生だったとしても納得いかない三線に仕上がります。

 

ちなみに、銘苅先生のサイン(所有者、日付、銘苅春政作の名前)がすべて入っているのが良いとデマが流れてますが、先生に頼めばいつでも書いてくれます。製作日は作り終えた日近くの大安の日を書いているそうです。3月4日にできた場合は三線の日なので、3月4日と記載されます。

 

前述の通り、最近ではご高齢ということもあり、これ以上受けても作りきれないことから製作を頼んでも断られます。今から頼んで新規製作はほぼ不可能になりました。

 

 よって、銘苅先生の三線を手早く手に入れたい方は、市場に売り出されているものを買うしか方法がありません。今まで作られた三線は数千梃は超えるとのことなので、気長に待てば中古で出回るとは思います。

 

現時点(2023年9月現在)で銘苅先生の三線をお探しの方は、みなみ三線店に数本在庫があるようですので覗いてみてください。

 


2022年5月15日放送 情熱大陸に銘苅春政先生出演

驚きのニュースが舞い込んできました。2022年5月15日(日)23時からの情熱大陸に銘苅春政先生が出演されました。さすがですね。快挙です。

 

あまりにも驚いてご本人に電話したところ、とても喜んでらっしゃいました。この番組を機に銘苅先生のことを知る人も増え、一気に探す方が増えるかもしれませんね。

 

ちなみに電話口で「まだクーチョーはできてないよ」と銘苅先生には言われました。オーダーしてから早3~4年?いつものことながら、なかなか作ってくれません。クーチョーとは情熱大陸でも放映されていた胡弓のことです。TVでも歌ってましたが、若い頃の銘苅先生の歌声をカセットテープで聴かせてもらいましたが、めちゃくちゃうまかったです。

 

銘苅春政 = 与那城

銘苅春政 = 与那城と言われるほど、銘苅先生の代名詞と言われるのが与那城型三線です。同系統の江戸与那城も人気です。しかし、ご本人はその言われ方に納得されていないようでした(本人談)。

 

「周りはそういうけれども、自分はそう(与那城の名人)思ったことはない。(その理由として)曲線、カーブにこそ、自分の技と自分にしか出せない味がある。どんな型かではなく、銘苅三線のすべての曲線が、自分にしか(造り)出せないもの」とおっしゃってました。

 

銘苅先生は故又吉真栄氏のように独自の創作型などを作られません。それは、型ではなく1つ1つの曲線や角度にあるからだ、ということなんですね。それを聞いて腑に落ちました。

 

とはいえ、銘苅先生の場合は一般的に与那城が有名なため、与那城と同系統の江戸与那城を求める方が多くいらっしゃいます。

先生の真壁型は少し独特で、普通の真壁型に比べて糸蔵が広く作られています。よって、一瞬与那城?と思う人も多く、一般的な他の製作者の作る真壁型とは見た目も寸法も異なります。銘苅先生の真壁を見て、あれは真壁じゃないという人もいるとかいないとか。個人的には氏の作る型はどれも優劣なく美しいです。

 

 


銘苅春政氏作のバチ(爪)

新たに2つ、銘苅先生にバチを作ってもらいました。

 

依頼してから約3年ぐらい経過したでしょうか。なかなか作ってくれませんでしたが、ようやくです。

 

元々の素材がそれなりの大きさだったため、速弾きにちょうど良さそうなSサイズと古典用の8.5cmぐらいの2つを作ってくれました。感謝。

 

バチ大 約8.5cm 85g (重い...)

バチ小 約7cm 45g

 

バチ大のほうがかなり大きく見えるんですが、実際の長さは1.5cmの差。横幅とかお尻の部分がかなり大きく重量感があります。

 

おそらくこれが最後のバチになりそうです。もうさすがに頼んでも作ってもらえなさそうな気がします。

 


古典の舞台、早弾きを想定して黒檀でバチを作製していただきました。マッコウクジラのバチは90g越えであまりにも重いため、地謡で早弾きがあるとちょっと大変です。

 

約8.5cmのサイズ感ですが、程よい重さ、ピカピカに磨かれた黒檀バチは素晴らしく高揚感があります。

 

私の三線は久米島紬のティーガーを使用したものが多いため、黒い三線に黒いバチということで、良い組み合わせが演出できそう。

 

製作は平成30年11月27日。知念真壁の棹と同時に仕上げてもらいました。



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