三線を演奏する前の基礎知識

三線をはじめて弾く際に、意外と前提をすっ飛ばして書かれている教本やサイトが多く存在します。

三線に関わらずすべての書籍がそうかもしれませんが、いきなり途中からぐっとハードルが上がったりしますよね。


ここで書く点は細かい点なので後々はどうでも良いことだったりするのですが、初歩の初歩でつまづくと、理解するのに立ち止まったりしてしまいます。

 

三線を弾き始める前に、三線の楽譜工工四(くんくんしー)が読めないと先に進めません。そして、工工四を読めるようになる前に、知っておいたほうが良い前提がいくつかありますのでご紹介します。

 

工工四とは

三線の楽譜を工工四(くんくんしー)と言います。工工四とは、別ページにあるような縦書きの三線専用楽譜のことです。独学であれ、教室に通うのであれ、この工工四という物が読めないと支障が出てきます。

 

他の楽器の場合、五線譜や理論がわからないと後々支障が出ますが、三線の場合は音楽理論はほぼ出てきません。少なくとも初級のうちは不要です。スケール(音階)とか理解しなくていいんです。

 

工工四の読み方はまた別ページで解説しますが、この読み方に関してはいろんなサイトですでに紹介されてますので工工四 読み方などで検索すると詳しく書いてるサイトが出てきますので調べてみてください。

 

さて、この工工四。少し厄介なのが、一曲につき何十種類(下手すれば何百種類?)もパターンが存在するところです。三線の定番中の定番、安里屋ゆんたをとってもいろんな種類の工工四が存在します。市販の三線楽譜などを買うと、それぞれ違うと気づかれるはずです。

 

 


先に結論を書きますが、今後も独学で趣味で続ける前提の方は、自分の好きなフレーズ、唄い方の工工四を探してみてください。探すというのは、実際にその工工四通りに弾いてみて、好きかどうかってことだけです。なんかこの工工四のフレーズは好きじゃない、とかあるはずなので、自分の好みの弾き方を探してみるといいと思います。

 

一例として、このサイトがその典型例ですがわかりやすかったのでご紹介します。民謡居酒屋などでよく聞く豊年音頭の工工四の違いを表しています。2〜3人でじゃあ豊年音頭をやろうってなった時など、同じ工工四で弾かないとズレちゃいます。

 

豊年音頭 工工四比較

 

後述しますが、違うのは三線の勘所(左手で抑える場所のこと)だけではないです。工工四の横に表記されている歌いだしのタイミング、さらに言えば歌詞自体が異なることも曲によってよくあります。

 

ちなみにここまで書いた工工四は主に民謡の工工四です。これが古典になると、さらに声楽譜がついたりします。参考までに古典の工工四はこんな感じです。四角のマス目のなかが弾きかたで、マス目の右にあるのが歌の音符と歌い方です。慣れるまでは相当苦労しますが、一度慣れるとなんと合理的な楽譜なんだろう!と思えます。

 

三線教室に通うのであればあまり市販物に手を出さないほうが良い

三線教室に通い、真剣に三線を学びたい。いずれはコンクールに出場して賞をとりたいと考えてる人は、あまり市販の工工四に手を出さないほうが良いです。


前述の通り、三線の工工四は人によって違います。イコール、三線教室ごとに専用の工工四が用意されているのです。三線教室では、三線教室の指定する工工四通りに弾き、唄わないといけません。その教室のお稽古時に、みんなで一緒に歌ったりします。一人だけ違うフレーズや唄い方をするとまずいですよね。一人だけ浮いてしまいます。


それなりに弾けるようになると、当然ですがどんどん面白くなるので次の曲、次の曲と練習したくなります。しかしながら、教室の工工四とは違う弾き方に慣れてしまうと、それが癖になり、教室でその曲をやるときに治さないといけなくなります。

これが結構大変です。


 私は教室に通う前に安里屋ゆんたぐらい弾けたほうが良いと思い、市販の工工四で練習していたのですが、教室の工工四とは異なるので余計なところで「合」を弾いてしまったりし、それが癖になってちょっと面倒でした。特に豊年音頭とか唐船ドーイなどの早弾き曲は手が慣れてしまうとなかなか後戻りしづらそうです。


また、市販の工工四でCDがついてる場合は参考に聞きながらできるんですが、ついていない場合は普段聞いている曲と弾き方が違ったりして混乱するかもしれません。

もっとも異なるのは唄い方

工工四の読み方のところで詳しく触れようと思いますが、工工四で一番気をつけないといけないのがフレーズもさることながら、唄い方です。唄い方とは、唄うタイミングです。


一例として、民謡のコンクール課題曲としてよく弾かれる安波節(あはぶし)。この曲をiTunesやAmazonで探すと、以外とCD音源になってるものが少ないんです。で、山内昌也さんの安波節が三線一本で唄っているため、シンプルでわかりやすく、参考として聞いていました。


ところが、少々厄介なのがこの音源は私の通っている教室で習う安波節といくつか異なる点があるのです。

以下がその違いです。そして、私の教室の工工四通りのCD音源は今のところ見つけられていません。


【同じ点】

・三線の弾き方


【違う点】

・歌詞の順番と細かい発音の違い

・唄うタイミング


具体的に書きます。山内昌也さんのCDの安波節はこういう歌詞になっています。


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かりゆしぬ遊び ハリうちはりてぃ からや

夜ぬあきてぃ てぃだぬ ハリあがるまでぃん


安波のまはんたや ハリちぃむすぃがりどぅくる

宇久のまちしたや ハリになしどぅく どぅくる

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そして、次に私の通う教室の歌詞の順番です


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安波のまはんたや ハリちぃむがりどぅくる

宇久のまちしたや ハリになしどぅく どぅくる


かりゆしぬ遊び ハリうちはりてぃ からや

夜ぬあきてぃ てぃだぬ ハリあがるまでぃん

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そして、一番違う唄うタイミングを表にしてみました。上の句の一部だけ比較してみます。


【CDの唄うタイミング】

工   合


【私の三線教室の唄うタイミング】



工   合

 

工工四というのは非常にシンプルに合理的にできていて、文字通り書いてある場所で唄うという楽譜です。CDの唄うタイミングがわかりやすいのですが、最初の「あ」は工の真上になく、工の右側にあります。これは、工の音を弾いてから「あ」を唄うという意味です。次の「は」は工の真上にあるので、工を弾くと同時に発声します。

 

反対に、私の教室の工工四は、歌詞がそれぞれの音の真上にありません。これは、弾いた音を聞いてから発声するのです。なので、三線のフレーズより唄が遅れて唄われる感じになります。この通りに唄わないとダメなんです。


では、CDがまちがっているのか?と言えばそうじゃないんです。ここが三線の大前提なんですが、各三線教室によって良いとされる唄い方が違うということを覚えておいてください。

 

なので少々厄介なんですが、普段誰かのCDを聞いて勉強しようとしても、自分の教室の唄い方や歌詞と違うなんてケースが結構あります。これが悩ましい点です。が、慣れるしかありません。


このページで伝えたいことは、三線教室に通うのであれば市販の工工四よりも教室の工工四と唄い方にしっかり準ずること。我流で通す場合は自分の好きな弾き方をCDやりYoutubeで探して弾くこと。そう考えておいてください。


ちなみに私の通う教室では沖縄POPソング(BEGINとか花とか涙そうそうとか)はやらないので、このあたりは家で自分の好きなように勝手にアレンジして弾いてます。今後教室でやるだろうなって曲(コンクール課題曲やナークニーとか唐船ドーイとかハリクヤマクとか)は自己流で触れないようにしてます。